岩出市の詩人、武西良和さん(69)が日本語と英語のバイリンガル詩集『忍者』を9月1日に出版した。猫、クモなど小動物の動きや自然現象を、忍者のふるまいに例えた作品が並ぶ。「どんなことも少し見方を変えるだけで詩のテーマになる。動物や自然をこんな風に例えられるのかと驚いてくれるとうれしい」と話している。
猫も亀も実は忍者!?
海南市や和歌山市で小学校教諭を務めてきた。30代後半に詩作を始め、今まで10冊の詩集と2冊の詩文集を刊行。2010年には国民文化祭の現代詩部門で文部科学大臣賞を受賞した。今作は退職後、農業を営み、自然にひそむ小動物の動きを観察する時間が増えたことや、詩を編むうちにそれぞれの作品の中に忍者のイメージを見いだしたことから生まれた。
やさしい言葉遣いで、亀が頭を水面に出したり沈んだりする様子を忍者が水中に潜伏する姿に重ねた作品や、猫の忍び足を扱った作品など24編を収録。表紙は絵の展覧会で出合った子どもたちの作品を載せた。
また、参加する日本国際詩人協会のつながりで、海外で朗読する機会が増えたことから、自ら英訳した。「世界の人に忍者というテーマがどう受け止められるか楽しみ。ひとつの詩が日本語と英語に姿を変えます」と武西さん。年内にはロシアの詩人、ヴェチェスラウ・クプリヤノフさんとともに詩集『鉄の二重奏』の出版を控えている。
A5判、77㌻。1500円。宮脇書店ロイネット店とアラオ岩出店で販売。武西さん(0736・62・5884)。
(ニュース和歌山/2017年9月16日更新)