海南市の紀州漆器協同組合会員ら4人が10月、芸術の町、イタリア・フィレンツェを訪れ、特産の漆器をPRした。訪問した一人、池原弘貴さんは「イタリアでは修繕しながら古い建物に住み続けるように、伝統あるものに対する意識が高い。漆器を知っている人はほとんどいませんでしたが、日本文化の一つとして関心を持ってもらえました」と手ごたえを語る。
有志が蒔絵体験や展示
漆器の出荷減、後継者不足と厳しい状況の中、漆器づくりで培った、様々な素材に塗りを施す技術を海外で広め、需要を喚起するのがねらい。同組合と交流のある埼玉県川越市の「川越スタイル倶楽部」がフィレンツェでプロモーション活動を行うのに合わせ、現地を訪れた。
まず20日、国立料理学校サフィーで、20歳前後の生徒約30人を対象に蒔絵体験を実施。盆に花やチョウなどを描いてもらった。学生からは「筆を使うのが難しい」「日本文化の一端に触れられた」などの感想が寄せられた。指導した塗り職人の奧野竜也さんは「印象深かったのは、『日本語で自分の名前を入れたいので、書き方を教えてほしい』との要望が多かったこと。『カタカナがかわいい』と話す生徒もいましたね」。また、フィレンツェと海南の市章を入れた賞状盆を同校に贈った。
21日は「世界やきとリンピック」会場で、盆や鉢、漆器の技術を生かして塗りを施した飾り台、屏風(びょうぶ)にひな人形を飾って展示した。
来年夏にはサフィーの生徒が日本を訪れ、黒江にも2日間、滞在する予定。池原さんは「今、黒江の古民家をゲストハウスに改装する計画が進んでおり、そこに泊まってもらいながら、漆器製作体験や海南観光でもてなしたい。海外からの観光客を海南に呼び込むルートの構築につなげられれば」と話していた。
写真=蒔絵を体験するイタリアの学生たち
(ニュース和歌山/2017年11月25日更新)