nagakou 小学6年の国語の教科書に掲載されている宮沢賢治の短編童話『やまなし』を、岩出市高塚の那賀高校演劇部が朗読劇にし、同市の小学校で上演を始めた。10日、同市根来の根来小学校で第1回を実施(写真)。米田有咲部長は「宮沢賢治の世界観を表現するため、部員で構成を考え、衣装や道具、音と全て手作りしました。物語の情景をそれぞれに思い描いてほしい」と目を輝かせている。

 地域貢献の一環として、地元の小学生向けに演劇部が初めて取り組んだ舞台。1月中に同市の全6小学校で披露する。

 『やまなし』は、谷川で暮らすカニの親子の会話で物語が展開する。登場する「クラムボン」の正体が分からず、宮沢の作品の中でも特に難解と言われる。10日は、カニ役の3人が朗読し、黒子が小豆でさざ波の音や、箱をたたいて太鼓の音を表現。しゃぼん玉を吹く演出や、大きな魚や鳥のクチバシなど手作りの小道具を駆使し、臨場感ある舞台を披露した。

 6年生66人は静かに見つめ、引き込まれていた。2組の小山里夢(りむ)さんは「だれがどの会話を言っているか、教科書では分かりづらかったことがよく分かった。迫力ある太鼓の音に驚いた」、1組の田邉はのんさんは「カニの目線で教科書を読んでいたけれど、全体のイメージを描けました。高校生の堂々とした朗読がかっこよかった」と感動していた。

 カニの父親を演じた南出亮さんは「子どもたちが笑顔で帰って行くのを見てうれしかった。童話の世界観とともに、演じる楽しさも伝われば」と笑顔を見せていた。

(ニュース和歌山2017年1月14日号掲載)