新工場内の展示パネル作成中

 和歌山市の老舗和菓子店、総本家駿河屋は、2018年2月完成の新工場内に設ける展示コーナーの準備を、博物館学芸員の資格取得を目指す和歌山大学生と進めている。同社の河合正規さんは「一般の人が知りたい情報を学生目線で切り取って紹介します。若い世代が和菓子に興味を持つきっかけにしたい」と期待している。

 同市小倉で建設中の新工場は、製造ラインの見学を兼ねた展示コーナーを設ける。菓子の木型や書物など様々な資料を持つが、展示方法のノウハウがなく、和大に相談。和歌山の食について調べていた後期授業「博物館実習Ⅰ」選択生が取り組むことになった。

 観光学部と教育学部の10人が、和大図書館や同市立博物館の資料、河合さんが持ち込んだ木型や古い新聞を調べている。11月30日は、河合さんが本ノ字饅頭について、
「昔から通夜や葬式の参列者に渡す粗供養としても使われ、葬式饅頭とも呼ばれます」、市立博物館の山下奈津子学芸員が
「木型は和菓子の歴史にとって貴重な存在」と説明。室町時代から続く同社の年表、和菓子の特徴、和歌山にとっての駿河屋などのテーマに分かれ、パネルに載せる内容を話し合った。

 観光学部3年の石井美宇さんは「小さいころ祖母が羊かんを食べさせてくれました。思い入れのある店の和菓子文化を多くの人に発信できてうれしい」、同学部3年の蓬莱夏野さんは「地元の下津町に菓子の神様をまつった橘本神社があります。駿河屋と故郷の歴史をしっかり伝えたい」と意気込んでいる。

写真=河合さん(後列左)の説明に耳を傾ける和大生

(ニュース和歌山/2017年12月9日更新)