和歌山市出身の博物学者、南方熊楠が生まれ、18日で150年。南方家の菩提寺、同市鷹匠町の延命院に顕彰碑が設置され、22日に記念法要が営まれた。
熊楠の遺骨の一部が納められている同寺。境内に建てられた顕彰碑には、イギリス留学中の明治26年(1893年)、高野山にいる友人に送った書簡の一部を刻んだ。環栄賢(たまき・えいけん)住職は「熊楠さんが父と母を大事にしていたこと、当寺の第10代住職と交流があったことが分かるこの文章を選びました」と説明する。
記念法要には、熊楠の父、弥兵衛が設立した同市湊紺屋町の酒造会社、世界一統の南方康治社長も出席。「熊楠を長年、研究されている住職に顕彰していただき、大変ありがたい。熊楠は田辺市出身だと思っている人が多いですが、和歌山市で生まれ育ったことを覚えてもらうきっかけになれば」と期待する。
環住職は「弟の常楠さんが資金面で支援したからこそ、熊楠さんは研究を続けることができました。陰で支えた南方家についても知ってもらいたい」と話していた。
(ニュース和歌山/2017年5月27日更新)