1979年に喫茶店としてオープンし、現在は弁当とカレーを販売する和歌山市寄合町のドッチで、ファンによる応援団が立ち上がった。カレーにほれ込んだデザイナー、根来麻須美さんが発起人となり、カレーの試食会やワークショップを開き、地道にファンを増やしている。
弁当店ドッチ 応援プロジェクト発足
ドッチは店主の森島良忠さんが自宅の一部を改装してオープン。豊富なメニューと土曜夜のライブが人気で、若者が集う場になっていた。二人三脚で切り盛りする妻の久美子さんは元常連客だ。
20年前に配達専門の弁当販売店に切り換え、国産材料だけを使った肉と魚の日替わり弁当とカレーを良忠さんが手作りし、自ら配達。中でもカレーは、油と小麦粉を極限まで減らし、野菜と果物を8時間煮込むこだわりようで、濃厚かつフルーティーな味わいだ。
昨年3月から昼1時間だけ、看板も掲げずひっそり店頭販売を始めた。しばらくたったころ、偶然カレーを口にした根来さんは「衝撃の味でした。このおいしいカレーをいつまでも食べ続けたい、みんなに知ってほしいと思いました」と振り返る。
ショップカードとメニュー表をデザインして贈り、カレーの試食会を開催。今月4日と6日には、近隣の設計会社、ベネフィットプラスが協力し、外壁を塗り直し、花壇をつくるワークショップを行った。約20人が汗を流し、参加した山本知美さんは「どれもおいしく、よく利用しています。イベントを通じ、よりたくさんの人に来てもらえるといいですね」。
輝きを取り戻した壁を眺めながら、良忠さんは「『いい匂いがする何屋か分からん店』、それでいいと思っていたが、応援してもらえたことで色んな人と出会えました」、久美子さんは「本当に感謝しかありません。私自身もお店のファンだったので、いつかまた喫茶店もできたら」とにっこり。
思わぬラブコールから始まった応援プロジェクト。新たなファンはもちろん、かつての常連客にも届きそうだ。
店頭販売は正午〜午後1時。日祝休み。同店(073・432・5927)。
写真=輝きを取り戻した外壁を喜ぶ森島さん家族
(ニュース和歌山/2017年6月10更新)