海南市の谷正義さん 和歌山県内でワークショップ

 東日本大震災から10年を迎える被災地に追悼の灯を届けようと、海南市の谷正義さんが県内でワークショップを開き、多くの人の協力を得ながら、竹あかりの製作を進めている。その数、311本。「遠く離れていますが、竹あかりを通じて人の温かさを感じてほしい」と思いを込める。

 昨年、東京五輪を盛り上げるため、開会式前日に全国各地で竹あかりを灯そうと企画されていた「みんなの想火プロジェクト」。谷さんはこのプロジェクトの和歌山代表を務めていた。

 今年2月15日、宮城代表だった三井紀代子さんから連絡が届いた。震災後、体育館が遺体安置場所になった東松島市の野蒜(のびる)小学校跡で3月11日に追悼イベントを開くのを前に、「2月に大きな余震があり、不安が広がっている。全国の皆さんからの竹あかりで勇気づけてほしい」との内容だった。

 谷さんは早速、和歌山市や紀の川市、白浜町でワークショップを企画。材料はアドベンチャーワールドのパンダが食べ残した竹の幹で、高さ10㌢に切り、雪の結晶に見えるよう電動ドリルで穴を開ける。

 製作にはシンガーソングライターの藪下将人さんも協力。震災10年の思いを込めた曲『竹千代』も作った。「闇が深い時の方が光は明るく見えます。歌も竹あかりも、自分もみんなも、光になれるはず。コロナ禍の暗い時期でもありますが、この曲が灯になれば」。詞を共作した谷さんは「和歌山県も南海トラフ地震がいつ起こるか分からない状況。皆さんが今一度、地震への備えについて考える機会にしてほしい」と願っている。

 『竹千代』はユーチューブの「やぶちゃんねる」で3月11日㊍に公開。

写真=竹あかりを製作する藪下さん(左)と谷さん(奥)

(ニュース和歌山/2021年3月6日更新)