コスタリカ出身ヴェロニカさん 国際交流の架け橋に

 「器に生けた草花でも自然に見え、生命力を感じられる。家の中に庭がある。それが生け花の魅力です」。そう話すのは中米コスタリカ出身で和歌山市に住む田中ヴェロニカさん(31、写真右)。生け花の指導者を目指し、教室に通っている。

 母国の大学に在学中、日本の文化に興味を持ち、日本語を学び始めた。その際に知った生け花に衝撃を受けた。「コスタリカでは花瓶に入れておしまいですが、日本ではこんな見せ方をするのかと驚き、いつか習ってみたいと思いました」

 8年前、結婚を機に和歌山へ。地域おこし協力隊として活動する夫と共に那智勝浦町の自然豊かな色川地区へ移り住み、念願の生け花教室へ通い始めた。昨年3月、夫の実家がある和歌山市へ引っ越した。育児のかたわら、同市や紀美野町、田辺市でスペイン語教室を開き、語学だけでなく音楽やダンスを通じ、コスタリカやスペイン語圏の多様な文化を伝える。

 生け花の先生になる夢を描いたのは、紀の川市貴志川町で教室を開く村上照子さん(写真左)と出会ってから。季節、花の表情の見方、生ける時の心構えなど、知りたかった花の世界が少しずつ理解でき、これまで以上に引き込まれていった。村上さんは「元から花が好きだからか、生け方にセンスがある。上達が早いので、年内に師範を取れるのでは」と期待する。

 ヴェロニカさんは「忙しかったり苦しかったり、色んな状況にある人も、花を見ればほっとし、前へ進もうとの気持ちになれます。日本の生け花の力を、来日した外国人や故郷コスタリカの人たちに伝えられるようになりたい」と目を輝かせている。

(ニュース和歌山/2021年4月10日更新)