ダイナミックタレ 倒産から再挑戦
昨年夏に倒産した和歌山市の調味料製造会社、ダイナミック食品。看板商品だった「ダイナミックタレ」が、クラウドファンディングでの支援を受け、今夏復活する。元社長の中秀彦さんは「父が作ったタレの味をもう一度、お客さんの口に届けたい」と意気込む。
1965年に誕生したダイナミックタレは、ニンニクをふんだんに使い、パンチの効いたみそ味が人気で、地元産焼き肉のたれとして親しまれてきた。しかし近年は、取り扱い店舗の大部分を占めていた精肉店が減少し、経営が悪化。さらに新型コロナウイルス感染拡大による飲食店の時短営業や閉店のあおりを受け、業務用の売り上げも落ち込み、昨年倒産した。
中さんが取引先へ倒産の報告に回っていた際、高校時代の友人で、食品卸問屋を営む赤井康造さんが、ダイナミックタレを継ぎ、製造してくれる業者を探し始めた。赤井さんは「長年、地元で愛された味を絶やしてはいけない。どうにかしないとと、いろんな人に相談しました」と振り返る。
そんな中、同市坂田の社会福祉法人桃の木会が場所や設備の提供を申し出た。中さんは今後製造責任者として携わる。「また食べてもらえるうれしさと共に、この味を作り続けるのが私の使命なんだと、改めて身が引き締まりました」。
販路拡大や新商品開発費用を集めるため、6月12日に始めたクラウドファンディングでは、初日の夜に目標額の100万円を突破。22日時点で180万円を超え、注目度の高さを証明した。
7月初旬に製造を開始し、8月中に販売を再開する予定。「再チャレンジできる機会を得たので、今度は幅広く展開し、全国に〝和歌山の焼き肉ダレ〟を知ってもらいたい」と目を輝かせる。
クラウドファンディングは7月11日まで。詳細は「ダイナミックタレ キャンプファイヤー」。
写真=「昔からの味はそのまま守りながら、新しい商品も構想中です」と中さん(中央)
(ニュース和歌山/2021年6月26日更新)