空撮や物流、測量と活躍の場が広がる無人航空機ドローン。海南市下津町を中心に昨年から活動する「わかやまドローン未来研究会」は今年6月、地域の子どもたちが早い段階から慣れ親しむ機会をと、キッズ教室をスタートさせた。谷本孝之理事長は「様々な場面で活用が進むドローンの最先端機器にふれてもらうことで、子どもたちの未来が開けるかもしれません」と目を輝かせる。
愛好家による未来研究会 子ども向け教室スタート
「200㌘以上のドローンを外で飛ばす場合は、自分の家の庭でも国土交通省の許可がいります」「コントローラー、右のスティックは前後左右、左のスティックは上下に動かすときに使います」。6月26日、海南市下津町にある建築資材用倉庫で開かれた教室。小学生11人が集まった。
主催したわかやまドローン未来研究会は昨年1月、趣味でドローンを楽しむ愛好家たちが立ち上げた。現在、30~50代の10人が所属する。
リフォーム会社を経営する谷本理事長は、建物の高い場所を確認する際、カメラ付きドローンを活用する。また、会員で、みかんを栽培する中西貞徳さんは「木の健康状態を上からチェックしたり、高い場所にあるスプリンクラーが目詰まりしていないかを見たりなど、とても便利ですね」と話す。
会では下津特産のみかんをはじめとする果樹栽培時、農薬散布にドローンを使う方法の研究を進める。加えて当初は、観光地やイベント会場での撮影許可を取り、会員が集まって空撮を楽しむ予定だった。しかし、発足間もなく、新型コロナウイルスが流行。描いていた取り組みができなくなっていた。
活動が制限される中、昨年夏以降、地元の子ども向けに体験会を開いてきた。谷本理事長は「大人よりも上達が早いですし、『いくらするの?』『どんな仕事で生かせるの?』など、熱心に質問してくれました」。
手応えを感じ、NPO法人格を取得した今年6月、体験会を発展させた教室を始めた。これまでのように操作を楽しんでもらうだけでなく、飛ばす上での決まりについて説明する時間を設ける。とはいえ、子どもたちが心待ちにするのは、実際に飛ばす時間。当日は実技練習に続き、4つある印の上を回って指定の場所に着陸させるまでの時間を競うタイムレースや、ドローンで打ち合う対戦ゲームを楽しんだ。
大野小4年の曽越葵さんは体験会を含め、この日が3回目の参加で、「思った通りに操作できた時が面白い」。タイムレースで1位になった加茂川小6年の坂本大河くんは「お父さんのドローンを触らせてもらったことがある。外の広い所で飛ばす時も注意しないといけないルールがあると知れたのが勉強になりました」と笑顔を見せる。
谷本理事長は「ドローンを飛ばしてはいけない地域は都市部より、地方の方が少ない」と強調。「将来、ドローンの設計士や操作技術を生かした仕事に就いた人が、『初めてドローンを体験したのが海南の教室でした』と言ってくれたらうれしいですね」と夢を描いている。
教室は小学3年生以上対象。小学生2500円、中学生2000円。高校生や大学生の受け入れも検討している。詳細は「わかやまドローン未来研究会」HP。
写真=真剣な表情で練習する子どもたち
(ニュース和歌山/2021年7月10日更新)