遺伝性疾患抱える能澤義和さん
視覚障害を持ちながら県立和歌山盲学校で37年間、教壇に立った和歌山市の能澤義和さん(67)が自伝『マルファン症候群と共に生きる』を7日、パレードから出版した。
マルファン症候群は心臓の血管、骨格、目などに障害をもたらす遺伝性疾患で、突然悪化し、命を落とす人もいる。この病気のため、母と兄を亡くした能澤さん自身も小学5年で右目を失明し、41歳の時には緑内障にかかり、左目も光を失った。52歳で心臓の大手術も経験。それでも情熱を持って教員を続け、2010年に県教委が表彰する「きのくに教育の匠」、翌年には文部科学大臣優秀教員表彰を受けた。
病気との闘い、母や兄との別れ、生徒たちに寄り添った教員生活──。著書には、いつ発症するか分からない恐怖を抱きながらも、前向きに歩んできた半生をしたためた。「私と同じようにマルファン症候群で悩み、苦しんでいる多くの人たちに少しでも寄り添えたら」と能澤さん。さらに「たとえ重い病気があっても、心の持ちよう一つで人生は大きく変えられることを、私の体験を通して伝えたい」と願っている。
四六判、300㌻。1320円。宮脇書店ロイネット店、アマゾンで取り扱い。パレード(06・6351・0740)。
(ニュース和歌山/2021年7月17日更新)