和歌浦天満宮 枯木で製作
新型コロナウイルスが「うそ」に変わるようにと、和歌浦天満宮の禰宜、小板政規さんが境内のクスノキで巨大な鷽鳥(うそどり)を製作した。「多くの人が笑顔の下で苦しんでいる。早くこの疫病が収束し、元の生活が戻れば」と思いを込める。
鷽が嘘(うそ)に通じることから、災いをうそにし、良いことに変える木彫りのお守り。ハチに襲われた菅原道真を、鷽鳥の大群が助けた伝説にちなみ、和歌浦天満宮では1月、鷽替(うそかえ)神事を行った。
新型コロナが流行し始めた昨春、楼門下にある樹齢約75年のクスノキが枯れ始めた。伐採するまでの間、人々の安全と健康を見守る鷽鳥にすることで新しい命を与えようと、小板さんが考えた。
これに境内の樹木を管理する紀美野町の上中林業、上中広幸社長が賛同。チェーンソーで体や目の形を整え、小板さんがアルミ板で手作りした目やくちばしを取り付け、半月かけて完成させた。上中さんは「コロナ祈願と聞き、喜んで携わらせてもらった。枯れた木を切るのではなく、お守りとして生まれ変わらすことができて良かった」。
鷽鳥は高さ約4㍍、直径約1㍍。願いがかなうよう、七夕の7日、像に魂を入れ、これに合わせ新型コロナの収束と東京オリンピック、パラリンピックの安全を祈願した。小板さんは「間もなく東京に多くの国から人が集まる。ケガや新型コロナから皆を守ってほしい」と望んでいる。
写真=境内から皆を見守る鷽鳥
(ニュース和歌山/2021年7月17日更新)