今年の紙面を彩った人々に贈るニュース和歌山大賞。編集部が選んだのはこの6組です。ますますのご活躍を祈ります。

 

音楽賞 田中鮎美さん〜ジャズ界名門からアルバム

 ノルウェーを拠点に世界で活動する和歌山市出身のジャズピアニスト、田中鮎美さん(35)。3人組のリーダーとして10月、ジャズ界の名門、ドイツ・ECMレコードからアルバムを発売しました。日本人女性がリーダーを務めるユニットが同社から作品を出すのは初です。設立者のマンフレート・アイヒャーさんから「素晴らしい音だ」と演奏を絶賛され、実現しました。

 

 

発明賞 岩崎伸哉さん・有北知史さん〜古紙リサイクルし糸開発

 新型コロナで行き場を失くした大量の古紙を活用したいと、島精機製作所の社員、岩崎伸哉さん(29、写真左)と有北知史さん(39、同右)が社内ベンチャーを提案。古紙のもろさを克服し、機械で編めるリサイクル紙糸を開発しました。さらに、これを使った製品づくりに挑戦中で、和歌山市のtunaguや東京のセレクト店でくつ下を販売し、注目を集めています。

 

 

情熱賞 北川順子さん〜夜間中学 学んで20年


 和歌山市の岩橋夜間学校で学ぶ唯一の生徒、北川順子さん(80)は、弟と妹の世話をするため、小4で通学をあきらめました。20年前、もう一度学び直したいと夜間中学へ通うように。その必要性を訴えるため、全国で講演活動を行ってきました。今年6月、同市で開かれた夜間中学に関する映画上映会で自作の詩を朗読。「まだまだ学びたい」とのひたむきな姿に賞を贈ります。

 

 

デザイン賞 岩田直樹さん〜デジタルの日 ロゴ作成

 10月に設定されたデジタルの日。このロゴを紀の川市出身で、耳の聞こえないデザイナー、岩田直樹さん(26)が作成しました。「視覚情報のみで生きてきたからこそ、『分かりやすさ』を反映できる」とポジティブに、だれでも過ごしやすい社会を願ったデザインを提案しました。また、ろう者と健聴者が交流する「ろうちょ~会」を運営するなど、広く活躍しています。

 

 

美化賞 工藤忠久さん・淳子さん夫妻〜清掃続ける道 駆けた聖火

 10年以上にわたり、海南市の船尾交番からマリーナシティまでの道路でゴミ拾いや草むしりを続けるのは、同市の工藤忠久さん(82)、淳子さん(82)夫妻です。その道が4月に行われた聖火リレーのコースに選ばれました。「偶然でしたが、きれいな道で聖火をつなぐお役に立てました」と忠久さん。今もウォーキングを兼ね、週5日ほど行う美化活動が健康の秘けつだそうです。

 

 

福祉賞 母親グループ「マスカーず」〜マスクで震災遺児支援

 今年は東日本大震災から10年でした。この間、震災で親を亡くした子を支援しようと、立体マスクを手作りし、その収益を寄付してきた和歌山市の母親グループ「マスカーず」に福祉賞です。新型コロナウイルスに対応し、不織布を縫い込んだ3層構造のマスクを考案し、今年、作り方を教えるワークショップを開きました。

写真=マスクを手にする佐津薫代表

(ニュース和歌山/2021年12月25日更新)