近大研究者らの熱意描く
約４千年前に絶滅したマンモス。その復活に挑む近畿大学生物理工学部（紀の川市）と先端技術総合研究所（海南市）によるプロジェクトが題材の児童小説『よみがえれ、マンモス！』が2021年12月15日、講談社から出版された。
プロジェクトは１９９６年にスタート。２０１０年、シベリアの永久凍土で、状態の良いマンモスの化石が発見された。12年に近大の研究者が筋肉組織や骨髄を採取。この筋肉組織から細胞核を取り出し、マウスの卵子に移植したところ、細胞分裂する直前の形まで成長した。
19年に発表した論文は世界に衝撃をもたらした。翌年、最先端の生命科学を多くの人に伝えるため大阪でマンモス展が開催され、そこで研究過程を物語風に紹介した。これを見た児童文学作家の令丈ヒロ子さんがノンフィクション小説化を提案。メンバー監修のもと、１年がかりで完成させた。
シベリアで発見されたマンモスの発掘作業、持ち帰ったサンプルを使った実験の日々など、世界を驚かせた研究成果へ至るまでを、ワクワク感たっぷりに描く。「マンモスをよみがえらせてもいいのか？」とのかっとうや情熱、一丸となって未知の世界に挑戦する姿を、豊富な図解を添えて表現した。
メンバーの一人、近大生物理工学部遺伝子工学科の三谷匡（たすく）教授は「子どもたちは今はもう見ることのできない恐竜やマンモスといった、大きくて強そうな生き物が大好きです。この小説から研究のおもしろさや人間味あふれる研究者の日常に触れて好奇心を抱き、未来の科学者を目指してほしい」と願っている。
Ａ５判、１２８㌻。１５４０円。和歌山県内主要書店で販売。
写真＝メンバーのリアルな顔が目印
（ニュース和歌山／2022年1月22日更新）
