和歌浦ブロードウェイ

 

 音楽や演劇、ダンスに手品と様々な演目を組み合わせたエンターテインメントショーを毎週金曜夜に上演し、和歌浦を盛り上げようとのプロジェクトが進行中だ。企画したのは2年前、紀の川市へ移り住んだ本村博之さん(56)。「目指す方向として分かりやすいよう、〝和歌浦ブロードウェイ〟と名付けました。万葉集に詠まれ、かつては多くの人が訪れた景勝地がもう一度、観光地としてにぎわう一つのきっかけに」と意気込む。

写真=開演に向け、意見交換する本村さん(左)と廣瀬さん

 

開演予定の5月へ準備着々


 バンドを組んでメジャーデビューした経験を持つ、鹿児島出身の本村さん。大阪ではヴォーカルスクールを経営した。一昨年11月に紀の川市へ移住した後も、オンラインでのボイストレーニングや歌手養成を手掛ける。

 大阪からの移住先を探していた2年前、訪れた和歌浦で偶然見つけたのが、元高級料亭の石泉閣を改装したアートの発信施設、和歌浦芸術区だった。「目の前が海で、景色がすばらしく、一方でどこかあやしい雰囲気。数え切れないぐらいイベントを開いてきた一般的なライブハウスにはない可能性を感じました」  

 2019年にオープンしたこの施設は、「新和歌浦を多種多様なジャンルのアーティストが集まる芸術の拠点に」と、廣瀬茂之さん(63)が5年かけて自ら改装。展示スペースやシアター、カフェバーなどを設けた。昨秋、本村さんから、毎週金曜夜にショーを開く案を聞き、「この場所に込めた私の思いと合致しました。何か面白いことをしようとの思いが集まることで、一気に盛り上がる可能性がある」と快諾した。  

 本村さんが描くのは、音楽や演劇などを順番に披露する形ではなく、全ての演目がつながったエンターテインメントショー。イメージが近いのはインド映画だ。「突然踊り出したり、歌い始めたりしながらストーリーが展開し、最終的にはハッピーエンド。分かりやすく楽しんでもらえるシナリオを考えています」  

 昨年末、出演者やスタッフの募集を開始。現在、俳優やダンサー、歌手ら8人が集まった。その一人、悪役専門の芸能事務所に所属する俳優、井上龍人さん(39)は「和歌浦を盛り上げたいとの思いに共感しました。9人いる子どもたちにいいところを見せたいとの思いもあります(笑)」。フラメンコライブを企画する東恵子さん(42)は、レトロな和歌浦芸術区が好きで、参加を決めた。「金曜夜に友達と会おうとなった時、『だったら、あそこでショーを見て、お酒を飲んで…』といった感じで、待ち合わせに使ってもらえる場所となれば」と願う。  

 スタート時期は新型コロナウイルスの感染状況によるが、5月ごろを見込む。出演者は随時募集中で、年齢やジャンルは問わない。本村さんは「みんな光るものを絶対に持っている。人を喜ばせたいとの思いがある人歓迎です。コロナで影響を受けたエンタメ界を活気づけられるよう、みんなでつくり上げていきます」と話している。  

 初演作「グッドニュース! !」のシナリオに組み込む、身の回りのハッピーニュースを県内在住者から募っている。詳細は和歌浦ブロードウェイHP (「和歌浦ブロードウェイ」で検索)。

(ニュース和歌山/2022年2月12日更新)