写真添えた『ちきまり』

 俳句歴約30年の前田紀代子さん(80)が、自らの句に、娘で写真家のこうのさちこさん(54)による風景作品を添えた句集『ちきまり』を昨年12月に出版した。前田さんは「娘とのコラボ。親子の絆が伝われば」と笑顔を見せる。  

 和歌山市に住むこうのさんが、田辺市で暮らす前田さんの傘寿祝いとして、句集の発行を提案。前田さんが詠んだ句から思い出深い200点あまりを選び、こうのさんが県内で撮影した写真と合わせ、一冊にした。  

 前田さんが「楽しい句にぴったりの写真」とお気に入りなのが、〝花筏(はないかだ)押し分けてゆく鯉の鼻〟。桜咲く木の下にある池で鯉が泳ぐ一枚を合わせた。一方、こうのさんの思い入れが強いのは、〝天高く大志抱きて羽ばたきぬ〟。「昨年、留学のため、ウィーンへ旅立った息子の部屋から撮った飛行機雲の写真です。母の句と思いが一致しました」  

 句集のタイトル〝ちきまり〟は雷のこと。「といっても、辞書には載っていません。さちこが小さいころ、雷を間違って『ちきまり』と言っていたんです」と前田さんは笑う。「小さい子が無意識に発する言葉は面白く、素直でリズミカル。どこか俳句に通じるものがあると選びました」  
 
 B6判、102㌻。1100円。ツタヤウェイガーデンパーク店、宮脇書店ロイネット店ほかで販売。

写真=句集を手にする前田さん(前)とこうのさん

(ニュース和歌山/2022年2月19日更新)