前田有佳利さん出版

 全国200軒以上のゲストハウスを旅した海南市の編集者、前田有佳利さんが2冊目の書籍『ゲストハウスがまちを変える』を10日、学芸出版社から発売した。「地域に根ざした小規模宿泊施設は、地域の課題を解決し、多様な文化を育てるまちづくりの起点となります。宿を中心とした魅力的な文化がこの先、より一層築かれるようにとの思いを込めました」とほほ笑む。

「宿とまちのつながりを表現した表紙」と前田さん

 2010年、初めて訪れたゲストハウスで十人十色の暮らしをする人たちと出会い、感動した前田さん。日本各地の施設を巡る生活を始め、紹介サイト「フットプリント」を立ち上げた。一方で近年、インバウンドへの機運が高まり、全国で軒数が急増する反面、個性が均一化したことに違和感を覚えた。

 書籍では、ゲストハウス品川宿(しゅく)はじめ4軒の運営と他社の開業を支援してきた宿場JAPAN、渡邊崇志代表のノウハウを6章にまとめた。日本におけるゲストハウス・カルチャーの歴史、多様な人が行き交い、まちの魅力を発信する場の作り方とサービスのポイントを解説。宿泊客が滞在中、地元民との交流を通じて「また訪れたい」と思える感動のサイクル作りや、個性的な事業者の開業エピソードを盛り込んでいる。

 前田さんは「二人羽織のように渡邊さんの姿をお借りしながら、自分の中に潜ませていた思いを言語化しました。宿そのものに興味がある旅好きの人や、多文化が共生するまちづくりに興味のある人に読んでもらいたいです」と話している。

 四六判、288㌻。2530円。宮脇書店ロイネット店、ツタヤウェイガーデンパーク店、アマゾンほかで販売。

(ニュース和歌山/2022年4月30日更新)