和歌山ブルワリーと高専生が開発
個性あふれるクラフトビールが全国で造られる中、県内の桜酵母で造った地元産商品が人気を集めている。考案したのは和歌山市十一番丁の醸造所、和歌山ブルワリーと御坊市の和歌山工業高等専門学校生だ。同社の𠮷田友之代表は「未来を担う若手研究者の育成は地元企業の使命。県産果物も使っており、ビールを通して和歌山の季節を味わってもらい、地域を活性化したい」と話す。
地元産原料のみのビールを造ろうと、かつらぎ町の麦芽、高野山のホップに加え、紀三井寺の桜で酵母の採取に取り組んでいた𠮷田代表。那智勝浦町のクマノザクラと御坊市の道成寺にある入相桜から酵母を取り出すのに成功していた和高専に依頼し、3月、5年の岸田悠佑さん、木脇蓮也さんと開発を始めた。
完成したのはクマノザクラ酵母で造ったキレのあるタイプ、入相桜酵母と複数のベリーを合わせたタイプの2種類。4月下旬、合わせて2400本をオークワ各店で販売すると、初日の午前中で売り切れる店も出た。岸田さんは「研究では得られない地域とのつながりを感じました。酒の席で話題にし、笑って飲んでもらえれば」と喜ぶ。
父の日に向け準備中の第2弾は、入相桜酵母を使用した方に紀の川市産レモンを合わせた。醸造所へ毎日通い、温度や材料の比重などデータを分析している木脇さんは「第1弾は発酵が遅く、別の酵母を追加した。データを元に改良した今回は桜の酵母だけで発酵に成功しました」と声を弾ませる。
オークワ各店で6月16日㊍発売予定。今後も改良を重ね、旬の果物を用いた商品を造る。
(ニュース和歌山/2022年5月21日更新)