監督は和大の木川剛志教授 ドキュメンタリー 2月に上映
戦後、神奈川県横須賀市で生き別れた母を探し、アメリカから戻った女性の旅を追うドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』が2月3日㊎~16日㊍、和歌山市松江のジストシネマで上映される。監督を務めたのは映像作家で、和歌山大学観光学部の木川剛志教授(46)。撮影のきっかけは、〝木川〟という姓だった──。
「キガワノブコという女性を知っていますか?」──。2018年夏、木川教授のSNSに突然、メッセージが届いた。アメリカに住むバーバラ・マウントキャッスルさん(75)の娘からだった。
1947年、横須賀市で生まれたバーバラさんの日本名は木川洋子。父はアメリカ人と思われる。母は日本人で、名前は信子。バーバラさんは5歳で養子縁組して渡米後、会っていない母を探すため、「キガワ」との名字の人を探し、手当たり次第に連絡していた。
その一人だった木川教授は、木川信子さんを知らなかったものの、空襲で焼けた街の復興や戦争孤児の生活を研究していたこと、また、連絡を受けた時、息子が5歳だったことに縁を感じ、協力を快諾。丹念な調査で、信子さんを知る人を捜し当てた。
今作では、そんな人たちから、故人になっていた母について聞くバーバラさんの姿を追い、突き止めた母の墓前に花をたむける姿を収めた。作品は東京ドキュメンタリー映画祭グランプリはじめ、国内外18の映画祭で入賞。昨年11月から全国で順次公開されている。
木川教授は「和歌山も空襲を受けた街で、GHQの人との間に生まれた子や戦災孤児がいました。当時を知る人が減る今だからこそ、この映画がその時代に向き合うきっかけになれば」と願う。
2月4日㊏午前9時50分の部の上映後、ナレーションを務めた俳優、津田寛治さんと木川教授による舞台あいさつがある。
(ニュース和歌山/2023年1月21日更新)