絵本『バスが来ましたよ』山﨑浩敬さん
網膜色素変性症で中途失明した和歌山市の元職員、山﨑浩敬さん(写真、61)が20日㊏午後1時半、和歌山市手平のビッグ愛9階で難病生活応援講座の講師を務める。通勤時のバス乗降を小学生が手助けしてくれたことを「あたたかな小さな手のリレー」として難病患者や家族、ボランティアらに話す。講義をするのは初めてで、「ふれあいを通し、希望を持てたことを伝える」考えだ。
視力が徐々に落ち、2005年ごろには仕事を辞めるつもりだった山﨑さん。職場の勧めで1年間、白杖や、音声入力パソコンを学んだことが転機に。「当初は投げやりでしたが、1人でもがくのでなく訓練で外部と接点を持ち、前向きになれました」
小学生との交流はそのころから。出勤時にバスを待っていると、「来ましたよ」と教えてくれ、乗降時に背中をそっと押してもらった。その後、毎日のようにサポートがあり、その子らが卒業しても同じ小学校の後輩たちへと引き継がれた。その話が昨年6月、絵本『バスが来ましたよ』として出版された。
講座では、小学生と話しながらの通勤が楽しくなったことをベースに、「難病の人には、外へ出ればふれあいが生まれ、生きる希望を持てることを、家族やボランティアには生活を手伝ってくれることが心の支えになる」と訴える。
講座は無料。和歌山県網膜色素変性症協会の山本浩会長による講義「誘導の心得」もある。希望者は和歌山県難病・子ども保健相談支援センター(073・445・0520)。11日締め切りだが、定員30人。
(ニュース和歌山/2023年5月6日更新)