事故・災害現場映像 共有 スマホで救命率向上ねらう

 「119番通報時、現場をより正確に把握できるように」と、和歌山広域消防指令センターが11月9日、県内初の映像通報システム「Live119(ライブイチイチキュー)」の実証実験を始めた。通報者が火災や事故の現場からセンターへ映像を送ると、適切な応急手当ができるよう、心肺蘇生法やAED使用法を示す動画をセンターが通報者のスマホに届け(写真)、具体的に処置を指示することで救命率向上につなげるのがねらいだ。

 Live119を利用できるのは、スマートフォンのみ。まず、通話をスピーカーに変更し、ショートメッセージで送られるURLにアクセスして画面表示に従い設定、必要な動画を撮影する。心肺蘇生などの支援を受ける場合、映像送信者と蘇生にあたる人の複数人が必要となる。

 11月27日現在、センターから現場に映像送信を依頼したのは13件。京奈和自動車道の交通事故で、「車から出られなくなった人がいる」との通報に、センターが映像を確認できたことで、「すでに車から出られていること」「周囲で渋滞が発生していること」を把握。これらの情報を現場に向かう部隊に伝達したことにより、スムーズな対応につながった。一方、スマートフォン操作や指令室からの指示がうまく伝わらず、現場把握に至らなかった事例もある。

 和歌山市消防局指令課の平松晃消防司令補は「自身の安全確保を最優先し、できる範囲で協力してほしい」と呼びかけている。

 和歌山市、岩出市、紀の川市、海南市、紀美野町が対象。2024年12月から有田市も参加予定で、25年4月の本格運用を目指す。紹介動画はユーチューブ「和歌山市公式チャンネル」で公開中。

(ニュース和歌山/2023年12月2日更新)