偉業顕彰する冊子出版
世界で初めて全身麻酔による乳がん摘出手術をしたとされる外科医、華岡青洲を顕彰する一般財団法人青洲の里が3月2日、『世界の医聖 華岡青洲~世のため 人のため 地域のため~』を出版した。同法人理事の神徳政幸さん(64)は「命を救うことにかけた一生を、分かりやすくまとめました」とアピールしている。
青洲は1760年、紀伊国西野山村平山(現紀の川市)に生まれ、村医者の父から手ほどきを受け、医学の道へ進む。不治の病だった乳がんを治療するため、曼陀羅華などから麻酔薬「通仙散」を開発。1804年、全身麻酔による乳がん摘出に成功した。
冊子には医術の功績だけでなく、農業用ため池の造成や神社へ多額の寄付を行うなど、郷土愛あふれる人となりを描いた。また、医学を極め、患者が天命を全うできるよう治療を尽くす「活物窮理(かつぶつきゅうり)」の思想にも触れた。
約30年間研究を続ける谷脇誠さん(75)は「外科医だが、内科にも精通する総合医。患者のことを常に思い、予防医学や治療法を説明し同意を得るインフォームドコンセントをあの時代に取り入れた偉大な人」とし、2人は「〝世界の医聖〟として広く知ってもらいたい」と意気込んでいる。
たて横21㌢、22㌻。550円。道の駅青洲の里で販売。送料自己負担で郵送可。同施設(0736・75・6008)。
(ニュース和歌山/2024年4月6日更新)