愛された場 拠点に日方巡って

 菓子発祥の地といわれる海南市で5月25日㊏、甘い物を楽しみながら街を巡る「かいなんスイーツヒストリー」が開かれる。会場の1つが築100年を超える藤岡砂糖店(同市日方)。店を所有する北原美和さんは「亡くなった両親が愛した故郷に、人が遊びに来るきっかけになるとうれしい」と目を輝かせる。

 明治時代に藤岡商店として開業、砂糖や菓子を販売していた。かつては、地域の子どもたちが10数える時に、「だるまさんがころんだ」ではなく、「ふじおかのこんぺいと」でリズムをとって遊んだほど愛されていた。

1973年の栄通り商店街。右が藤岡砂糖店

 店があった栄通りは熊野街道の一部で、多くの商店が並ぶアーケード街だった(写真)。しかし、大型店の進出や人口減で昔からの店は次々とシャッターを下ろした。アーケードも撤去され、今では数店が営業しているだけ。藤岡砂糖店も2016年に閉店した。

 大阪に住む北原さんは以前、両親の介護のためたびたび帰郷していたが、「あまりの忙しさに、当時は地域のことを考える余裕がありませんでした」と振り返る。昨年母親が亡くなり、改めて周りを見渡すと、空き地が増え、寂しさを感じた。「天国の両親、そして地域の人が喜ぶイベントをできないか」と2月、知人に相談。スイーツヒストリー開催が決まった。

 「当日は奈良のかき氷店、大阪のおやつ屋などが出店します。ほかに2会場あるので、日方を巡って、昔の街並みを楽しんでください」と笑顔で話している。

 5月25日㊏午前10時~午後4時。和み(073・488・1321)。

(ニュース和歌山/2024年5月18日更新)