フィンランドでデビュー

 昨年12月まで、アルテリーヴォ和歌山で活躍していた大橋優正選手(26)。今年2月、フィンランドのプロ2部リーグ、ウッコネンに所属するイッポ・ヨエンスーに入団し、4月13日の開幕戦でプロデビューを果たした。「和歌山での3年間のおかげで今がある」とし、「イッポはあくまでも通過点。欧州の強豪チームへの移籍を狙います」と、さらなる高みを目指している。

 大橋さんは京都出身。中学は京都市の強豪クラブに所属し、福知山成美高校に進学。ポジションは、フォワードの近くで攻撃に加わるミッドフィルダーだったが、出場機会に恵まれずにいた。

 高校2年の夏、インターハイ終了後に監督から「サイドバックをしないか」と声がかかった。自陣ゴール前を守るディフェンダーのサイドで、攻撃参加もあり、豊富な運動量が求められる。

 驚きを隠せなかったが、持ち前の体力とガツガツとしたプレースタイルが見事にはまった。新たなポジションで頭角を現し、京都学園大学(現・京都先端科学大学)では、レギュラーになった。

 2020年、アマチュア1部、JFL(日本フットボールリーグ)の高知ユナイテッドSCに入団。しかし、リーグ戦は全試合ベンチ外に終わった。21年、中学時代のチームメイトがアルテリーヴォにいた縁で移籍する。

 1年目は試合に出られなかったが、2年目には関西リーグでの優勝に貢献。JFL昇格をかけた全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)に挑むも、一次ラウンドで敗退した。「次こそは」と3年目も地域CLに駒を進めたが、同じ結果となった。

大きく足を出し、パスを遮る大橋さん(右)

 この時「和歌山では、やりきった」と、夢だった〝プロサッカー選手〟を目指す決意を固める。3年間で自信がつき、26歳を目前に、「技術面、精神面で安定し、今が一番良い。もっと上にいきたい」と考え、可能性を模索。海外リーグへの挑戦を選んだ。「和歌山を盛り上げたかった。でも、『今やらないと後悔する』と思い、夢にかけました」。

 実力に合う場所を求め今年1月、フィンランドに渡る。サイドバックの補強を計画していたイッポ・ヨエンスーで3週間のトライアルを受け、見事合格。2月に1年間のプロ契約を結んだ。「ほっとしたと同時にうれしさがこみ上げた」と振り返る。

 開幕前のカップ戦や練習試合の7試合で先発メンバーに起用され、ほぼフル出場。「海外選手は体が分厚く強い」としつつも、「フィジカルには自信があり、負けていない。開幕戦はスタメンを取れる」と手応えをつかんだ。

 言葉通り、シーズン初戦のピッチに立つ。「ピリッとした雰囲気に緊張しましたが、すごく楽しめました」と試合後、率直に語った。その後も6試合中5試合に出場し、5月12日には初ゴールを決めるなど活躍を見せている。「今のチームで結果を出し、半年後にはフィンランドの1部リーグへ。そこでさらに市場価値を高め、欧州の中でも高いレベルのリーグへステップアップしていきたい」と先を見据えている。

(ニュース和歌山/2024年5月18日更新)