6/26 本町公園でフードフェス開催

 店主、福本光男さんの頑固だが憎めない人柄で愛された和歌山市福島の居酒屋「ちょっとバーなごみ屋」が、福本さんの大けがにより、3月に閉店を余儀なくされた。福本さんを応援しようと、常連の飲食店主らが6月26日㊌、和歌山市北桶屋町の本町公園で「チャリティフードフェス」を開く。実行委の髙橋宣貴さん(写真左)は「開店当初の20年前からお世話になってきた先輩への恩返し。多くの仲間が力になってくれており、光男さんがうらやむようなイベントを目指す」と意気込む。

協力店次々と

 福本さんは今年2月の深夜、食事の帰りに自転車で転倒し、頭部を強打。病院に搬送され、脳出血と脳挫傷の診断を受けた。左半身にマヒが残り、今も入院中。復帰のメドが立たない中、なごみ屋は3月に閉店した。

イベントでカクテルを作る福本光男さん

 事故を1週間後に知った髙橋さんは、「何かできないか」と思いを巡らし、チャリティフードフェスを企画。なごみ屋で知り合った飲食店主に声をかけ、また、SNSでイベントの情報を発信すると、協力を申し出る店が徐々に増えた。いずれも福本さんを慕い、なごみ屋に足を運んでいた人ばかりだ。

 フェス参加店の報告と見舞いをかね、福本さんを訪ねた髙橋さん。「見ているとケガの状況は痛々しかったですが、毒舌を交えた相変わらずの〝光男節〟を聞くと、『きっとこの人は大丈夫。自分たちのできる限りのことをしよう』と思えました」

同業こその支え

 髙橋さんは高校時代、知人に連れられ、なごみ屋に通い始める。ソフトドリンクを飲みながら、人生の先輩に相談事から他愛もない話までする仲になった。高校を出て料理の道に進み、県外のホテルで働いていたころは、「休みになると、実家に帰るよりも先に店に足を運んだ」ほど。同市湊でハンバーガー店、ブーズバーガーを経営する中で、仕事終わりにたびたび訪れていた。

なごみ屋でくつろぐ丹橋さん(左)と福本さん

 協力を申し出た本町のバー、ミートアップの山田直輝オーナーも福本さんに魅せられた1人。「思い出の場所がなくなるのは寂しいし、光男さんにはまだまだバーカウンターの前に立って、シェイカーを振っていてほしい」と、応援の気持ちで、フェス参加を決めた。当日は、なごみ屋に残された酒類でオリジナルカクテルを提供する。

 さらに、「光男さんとは十数年の付き合い」と話す田中町のビストロ10のオーナー、丹橋亮さんは、「バーテンダー仲間に紹介してもらったのがきっかけ。快活でおしゃべり上手、バーとカクテルを愛してやまない光男さんとはすぐ仲良くなりました」と振り返る。

 これまでに和歌山市の人気店20店以上の参加が決まり、髙橋さんは「とても心強い」と感謝の気持ちでいっぱいだ。個人店はどこも、病気や事故、ケガがあれば営業できなくなってしまう。だが、「飲食店だからこそできる〝支え方〟があるはず。フェスを通し、お客さんと経営者が一緒になって、支えを実現させたい」との思いを強めている。

チャリティフードフェス~なごみ屋復活への道標

 6月26日㊌午後5時~10時。ハンバーガー、ラーメン、カレー、焼鳥など20以上の飲食店。また、流しのミュージシャンによる演奏がある。収益は見舞い金とする。詳細はインスタグラム「なごみ屋 チャリティ」で検索。※席数に限りあり。

(ニュース和歌山/2024年6月22日更新)