新型コロナウイルスの影響で、自治体や産婦人科の子育て講座が実施されず、不安を抱えたまま育児を始めざるを得なかった保護者は多い。そんな中、親同士の情報交換やリフレッシュを目的とするコミュニティが立ち上がり、子どもの生活リズムに合わせた保育園が登場、行政も子育て支援事業を充実させている。それぞれの取り組みを見た。
生活リズムに合わせた対応を つたのは保育園
従来の保育施設で一般的だった、給食や遊び、昼寝など集団で行動を共にする一斉保育。これとは異なり、子ども1人ひとりに合わせた育児担当制保育を導入したのが、つたのは保育園で、5月に紀の川市桃山町調月に開園した。
担任1人、サブスタッフが3人おり、担任が遊びや排せつをみている間、サブスタッフが食事を準備する。また、担任がご飯を食べさせる間はサブが別の園児たちの食事を準備し、食後は昼寝、という流れで1日を過ごす。担任が1人で子どもたちをみることで関係を築きやすい。これにより体調の変化に気づきやすく、子どもの情緒安定につながり、生活習慣を身につけやすくなるのがメリットだ。
同園は0~2歳児20人が過ごす。保育事業部ディレクターの辻本実千さんは「教室は保育士の目が届く広さなので、園児は室内を自由に遊び回っています」。
木村美紀園長は「保育園は保育士、保護者、園児が集まる場所。それぞれの意見に柔軟に対応し、みんなが楽しめる園にしていきたい」と意気込む。8月には園内にカフェを併設する予定で、「うちに通っていない子どもと親にも遊びにきてもらい、交流を深めてほしい。保育士もいるので、子育て相談にも乗れますよ」と呼びかけている。
子連れでゆったりできる場 親子交流会
週に一度、和歌山大学近くのマンション一室で、ママ同士が育児情報の交換に花を咲かせている。
主催する山尾美里さんは1歳になる娘の子育て中。高校教員の夫は帰宅が遅く、また両家の実家が県外のため、いざという時に頼れる人がおらず孤独を感じていた。
娘が初めてカゼをひいて泣いた時、「私も不安で泣きながらあやしていました」と振り返る。
そんな時、同じマンションの女性が心配して訪ねてくれた。他愛もない話や育児相談をしただけで気持ちが軽くなり、子どもに笑顔を見せられるようになった。
この経験から「子育てには心の余裕が大事」と痛感。「子どもの面倒を見ながらゆっくり過ごせる場を」と、昨年7月に交流会を立ち上げた。
活動は多岐にのぼる。「子どもと一緒に行けるカフェがない」「人気のスイーツを食べたいけど、子連れで行列に並ぶのは大変」との声をヒントにお取り寄せカフェを開催。毎回10人程が参加し、「気軽に人気のお菓子を食べられる」「子どもを見守り合えるのがうれしい」と好評だ。山尾さんは「理想のママ像があっても、実際はみんなうまくいかないことだらけ。1人で悩まず、共感し合える関係をつくりに来てください」と参加を求めている。
次回は7月8日㊊午後2時半~4時半。詳しくはインスタグラム「WAKAYAMA WAKUWAKU MAMA」で検索。
和歌山市新事業 医療助成拡充やプレゼント贈呈
和歌山市は、子どもの入院、通院、薬などの費用を負担するこども医療費助成制度の年齢制限を昨年8月、15歳から18歳に広げた。また、9月ごろから申し込みを受け付けるこども未来ギフト事業は、生まれたばかりの子どもに米か、木のおもちゃをプレゼントし、「健やかな成長を願う」のがねらい。
同市子育て支援課は、「ここ数年、新型コロナ禍で人との接触を避けていたため、なかなか子育ての悩み相談ができない日々を送らねばならなかった新米パパ・ママが多い。今後はより一層、保護者に寄り添った相談、対応を心がけます」と熱を込める。
(ニュース和歌山/2024年7月6日更新)