1960年代に世界で大ヒットを連発したイギリスのバンド、ザ・ビートルズ。その曲を生演奏で楽しんでもらおうと9月21日㊏、22日㊐に、JR和歌山駅前わかちか広場で「ビートルズ・ストリート」が開かれる。大阪南港で春秋に行われているイベントの和歌山版で、大阪以外では広島に続き2カ所目。主催する吉田正文さん(73)は「生演奏で気軽に曲の良さを分かってもらえる場にしたい」と意気込んでいる。
ビートルズ・ストリートは2013年、大阪でカバーバンドのビートラスとして活動する竹中章夫さん(50)が、南港ATCのステージで友人らと7バンドで始めた。春秋の年2回実施し、3回目から出演者を公募。知名度は徐々に上がり、近年は海外から来るバンドもある。今年5、6月の第19回には150組以上が応募し、3日間計75組約350人が出演したほどだ。
一方、吉田さんは21年からわかちか広場で、「ポップギア」と題し、70年代ロックを中心とするライブを年2回主催。自らもカバーバンド、バートラズのドラマーとして出演している。
今年5月、次のポップギアのテーマとして、ビートルズとベンチャーズを考えていたところ、竹中さんと出会い、状況が一変。話が弾み、和歌山でのビートルズ・ストリートを提案されたのだ。竹中さんが「和歌山は元々候補地の一つで、吉田さんは音楽イベントを開いてきた実績もある。大阪と連携できればうれしい」と思いを話すと、吉田さんも即断した。
中1でラジオから流れる『抱きしめたい』『シー・ラブズ・ユー』に触れた吉田さん。「思いっきり声を出し、どこか挑発的」なところに心を揺り動かされた。仕事に忙殺されていた40代半ばのころ、ビートルズの音楽を流すバーで久々に彼らの曲を聴き、「青春時代が頭に浮かび、体に活力がわいて急に元気になった。音楽の力、バンドの力を痛感した」。当時の思い出がよみがえってきた。
開催に当たり、大切にしていることがある。出演者は公募し、審査を通過すればメインステージに立てる。一方で、バンドの入れ替わり時に設けるアコースティックステージは無審査だ。竹中さんは「〝演奏力偏差値〟を競うイベントでなく、とにかくみんなで楽しむのがねらい。『人前で演奏したことがない』『この日は全員が揃わない』『審査に落ちた』など、演奏したい人なら出られます」とほほ笑む。
吉田さんも「初めて聴いた時の衝撃、また、映画館で動く姿を見たときの感動ははっきり覚えています。生演奏では、同じ曲でもバンドごとに捉え方が異なり、アレンジも様々。それぞれのビートルズを楽しんでほしい」と願いを込めている。
◎出演バンド募集…9月21日㊏、22日㊐各午前11時~午後5時、わかちか広場。ビートルズ・ストリートHPから、バンド名、演奏動画のリンクなどを7月20日までにアップする。両日とも10組前後。アコースティックは7月25日~8月10日まで受け付け。出演無料。詳細は吉田さん(080・9742・0101)。
(ニュース和歌山/2024年7月13日更新)