功績継承へ有志ら取り組み

 紀州流と呼ばれる土木技術を開発した海南市溝ノ口村(現・野上新)出身の井澤弥惣兵衛(いざわやそべえ)の功績を称えると共に、地元の偉人を知ってもらう機会にと7月7日、同市溝ノ口にある菩提寺の宗光寺に「井澤弥惣兵衛為永翁 紀州墓所」とする案内板を設置した。有志で作る案内板設置委員会が募金を集めたもので、山添高道共同代表は「昨年5月、弥惣兵衛さんの墓石が井澤家の墓地から宗光寺に移転されました。亀池や新川などかかわった場所を巡る時に訪れて下さい」と呼びかけている。

弥惣兵衛と家族の墓石後方に設置した案内板

 弥惣兵衛は18世紀初め、細く曲がりくねり洪水が起きていた亀の川を直線状に改修し地域の安全を守ったのを始め、田畑へ水を安定供給できるよう亀池を造成した。また、埼玉では見沼代用水を造成するなど紀州流で地域に貢献してきた。

 墓は東京の心法寺と埼玉の常福寺にあり、いずれも案内板などで功績を称えている。宗光寺は正面に菩提寺の石碑があるが、案内板はなかったことから、墓石移設後に設置を求める声が上がっていた。

 板には、紀州流土木工法を駆使し、新田開発や河川改修に力を尽くしたことや墓石の説明、また、弥惣兵衛のシルエットが描かれている。山添共同代表は「弥惣兵衛さんのお陰で300年以上も全国の人々が恩恵を受けています。そんな功績が分かりやすくなり、今後につなげていける」と喜んでいる。

(ニュース和歌山/2024年7月13日更新)