建築、石積みの意図 解説

 和歌山城を巡りながら日本城郭史学会の水島大二委員が歴史や構造を説明する「和歌山城で学ぶお城教室」が10年を迎えるのを記念し8月25日㊐、和歌山市役所で記念講座を開く。水島さんは「シンボル的な天守閣だけが城だと思う人は多いですが、石垣や大名屋敷なども含めて城。現地で見てもらうことで理解が広がってきました」と言葉に力を込める。

石垣の前で歴史や積み方を解説する水島さん(中央)

 教室は、訪問客の案内や登城サポートをする城プロジェクト(川島寛昭代表)が2015年、素晴らしさを多くの人に知ってもらおうと、「和歌山城 隅から隅まで楽しもう!」の名でスタート。時代によって異なる石垣の積み方や天守閣の構造、屋敷跡、城内の通り道がなぜ曲がっているかを実際に歩いて体験してきた。

 水島さんは「天守閣に微妙なひずみがあることや、それが分からないよう配慮した設計。また、石工が知恵を絞った石積みなど、建築や城郭造りに人間の心理をついた意図を感じます」と評価。国宝だった天守閣は1945年の空襲で全焼した。「再建はコンクリート製ですが、これほどまで精巧に再現されたのは貴重で、和歌山の誇り」と言い切る。

 講座は年6~8回実施し、多いときは160人が参加したこともある。いまは50人に絞り、「江戸時代の城の姿を頭に描いてもらう」ことを意識し、取り組んでいる。講座では、城を目の前にのぞむ市役所を会場に、石垣や江戸城、また、市内に残る大名御殿などを取り上げる。

水島大二先生と学ぶ和歌山城〝お城教室〟10周年記念講座

 8月25日㊐午後0時半、和歌山市役所14階。伊津見孝明さんが「石垣の修理から見る和歌山城の歴史」、小山譽城さんが「徳川三代と江戸城天守」、水島さんが「もうひとつの和歌山城」をテーマに話す。無料。希望者は16日までに城プロジェクト(080・1437・4171)。

(ニュース和歌山/2024年8月3日更新)