阪本繁紀さん 震災と向き合う少女描く

 元県職員で、和歌山下津漫画制作同好会を主宰する阪本繁紀さんが、東日本大震災を題材にしたマンガ『ある光』を8月11日に刊行した。「災害は一瞬ですが、復興は何十年もかかる。日常を取り戻すのはどれだけ大変か、またそんな中でも夢や希望を持つ被災者の姿を知ってもらいたい」と力を込める。

 舞台は福島県いわき市。高校3年生の佳文(かや)はミュージシャンの夢を追うか、大学進学かで迷っていた。転校生の宮田と出会ったのを機に、夢と向き合い、未来へ気持ちを前進させる。そして卒業直後、運命の2011年3月11日を迎えて──。

 前半はありふれた日常、後半はその日常の全てを地震と津波で一瞬にして失ってしまった恐怖、さらに周りに支えられながら夢を追う主人公を描いた。被災地でレスキュー隊員として活動した元陸上自衛官のインタビューや、現在も続く復興事業についても収録している。

 阪本さんは震災9年後の2020年に初めて東北を訪問。その時でさえまだ残る災害の爪あとを目の当たりにし、「震災の恐ろしさを和歌山の人たちにも伝えなければ」と決意し、取材を開始。「この本で福島の奮闘を知り、いずれ起きる大災害へ心構えをしてほしい」と話している。

 B6判、662㌻。ショップサイト「ブース」で販売。1500円。阪本さん(070・1065・2937)。

(ニュース和歌山/2024年10月5日更新)