ワーホリなど3年計画で
若者の視点で田辺市龍神村の魅力を発信し、移住につなげようと、きのくに信用金庫と和歌山大学がプロモーションビデオの制作に取り組んでいる。両者が締結する包括連携協定事業「龍神村移住促進プロジェクト」の一環で、12月3日、4日に東京ビッグサイトで開かれる「よい仕事おこしフェア」で上映する。
温泉や豊かな自然で知られる人気観光地の龍神村だが、中学卒業と同時に村外へ出る子どもが多く、人口は2005年の約4千人が現在は3千人弱まで減っている。
同信金は昨年、連携協定事業の支援先として同村を選定。人口減に悩む村や地域おこし団体「龍の里づくり委員会」の要望を取り入れ、移住促進をプロジェクトのテーマに決めた。門浩輝次長は「自然の中でのびのびと子育てできる点がアピールポイント」と強調する。
9月7日~9日、同信金、和大、関西大のメンバーが現地入り。和大チームは移住者へのインタビュー動画を、関大チームは龍神温泉や吊り橋など名所を撮影した。
和大観光学部4回生の北又悠愛さんと2回生の東本凪央さんは、カフェや宿泊施設、養鶏場を営む経営者らを取材し、移住を決めた理由や暮らし、仕事、人との交流について聞いた。北又さんは、「移住された人が話した『地域の人に助けてもらっている』との言葉から、人のつながりが村の魅力の根底にあると感じました」。それに加えて東本さんは、「移住者は、地域に新しい風を送ることでその地に還元できる」とふり返った。
学生たちを指導した和大観光学部の木川剛志教授は、「人口減少を止めるには、世界観を変えることが必要。助け合って暮らす概念が生まれれば、東京一辺倒ではなく『地方で生活する』という選択肢が見えてくる」と、移住の可能性について語った。
プロジェクトは3年計画で、来年度は、仕事をしながら移住体験するワーキングホリデーなどを企画している。
(ニュース和歌山/2024年11月16日更新)