シロキタ中心に12ギャラリー
和歌山城北部のいわゆるシロキタに増えつつある小規模ギャラリーを中心に、書店や映画館など12カ所を〝はしご〟し楽しんでもらう「アート・ウォーク・ワカヤマ」が4月1日㊋から6月1日㊐まで、初めて開かれる。主催は雑賀町で納屋河岸ギャラリーみづはらを営む岡律夫さんと家族(写真)。岡さんは「絵画専門、写真中心など、各ギャラリーには〝色〟があります。マップを片手に巡り、多様な芸術に触れ、自分好みのギャラリーを見つけてほしい」と期待をかけている。
岡さんは2023年11月、市堀川沿いの元青果店を改装し、大型冷蔵庫をインスタレーション(オブジェなどを置き、空間全体を作品とする手法)スペースとするみづはらをオープンした。アートウォークのきっかけは、開店当初に訪れた人が口にした「この辺りはギャラリーが増えてきたから、それらが載った地図があれば便利」との言葉。早速、地図を作るためにギャラリーを回るうち「こんなに施設があるのなら、アートの力を結集して地元を盛り上げられる」との気持ちがわき上がってきた。
開催に当たり、キーワードを「みどり」とした。岡さんは「『みどり』は、色を表すのはもちろん、草花や地球環境などを連想させる言葉です」と説明。さらに、インパクトを出せるよう、テーマを「みどりバクハツ」に決定した。
岡さんは「テーマに沿った展示をすることで一体感を醸し出し、また、各施設を巡る〝はしご〟を通して鑑賞者に各ギャラリーの〝色〟を実感してもらえる」と考えている。
みづはらでは、デザイナーである岡さんの新作を中心に展示する。「例えば『青信号』『青リンゴ』と言いますが、実際は緑色ですよね。そういった青と言われるけど緑のものを、文字とイラストで表現した7作を出品します」。ねらいは、「当たり前になっていることに疑問を持つと、新たな発見が生まれ、ものの見え方が変わる。それが人生をより楽しくしてくれると伝えたい」と熱く語る。
十二番丁のロップカフェ&ミニギャラリーでは、4月2日㊌から27日㊐まで「Verde(ヴェルデ:緑)」と題した展覧会を開く。県内を中心に5人の若手作家が風景と人物を描いたイラストや水彩、野草の押し花などを展示する。梶貴大店長は「これまでギャラリー同士で個別の交流はありましたが、合同でイベントをするのは初めて。市堀川沿いはカフェも増えており、一緒に盛り上げたい」とにっこり。
さらに、元博労町にあるかまどの下の灰までギャラリーは4月9日㊌から20日㊐まで、1階を小さな森、2階ベランダを縁側に見立て、植物を前面に押し出した展示をする。井上智象(ともかた)代表は「兵庫で造園や外構設計に携わる悠(はる)の庭による『縁側』がテーマの作品です。分かりにくいでしょうが、それは当日のお楽しみ」とほほ笑んでいる。
このほか北ぶらくり丁の映画館シネマ203は『ブータン 山の教室』『お坊さまと鉄砲』など、アジアの国ブータンの映画を上映。国土のほとんどが山とあって、緑豊かな風景が映し出される。
テーマ周知に奔走した岡さんは「それぞれ気に入った作品を展示してきたギャラリーに、同じテーマの元で個々の〝色〟を出してもらいます。鑑賞者は〝はしご〟することで、意図の違いや類似点を見つけてもらえるとうれしい」と願っている。
参加施設については表、イベント期間や内容は各ギャラリーのインスタグラム、またはホームページを参照。
(ニュース和歌山/2025年3月22日更新)